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注目ニュース2019-11-14

【学ぼう産経新聞10/10】企業探求「正解のない課題」 関西大倉高校1年生が挑む

【学ぼう産経新聞】企業探求「正解のない課題」 関西大倉高校1年生が挑む

産経新聞について広瀬一雄・編集企画部長(右)から説明を聞く関西大倉高校の生徒たち =9月26日午後、産経新聞大阪本社

「10代が選挙に行きたくなる記事とは?」

「10代の有権者が選挙の投票に行きたくなる新聞記事とは?」「世界中の高校生が大阪万博に来るようなアプローチは?」といった課題について、関西大倉高校(大阪府茨木市)の1年生が解決策を考えて発表する「企業探究」に取り組んでいる。生徒たちだけで企業を訪問し、3学期の発表に向けてがんばる姿に、教員らも「社会とかかわる意識を高めてほしい」と見守っている。

9月下旬のある日、同校1年の増原州真君や武田りおさんら計10人が、大阪市浪速区湊町にある産経新聞大阪本社を訪れた。産経新聞編集企画室から出された「お題」は「?代の有権者が選挙の投票に行きたくなるような新聞記事ってどんなの?」で、各クラス3、4人で構成される班の代表者の生徒が、企業を「探究」するためだ。

生徒は、まず本社6階の編集局や写真報道局で紙面の編集現場を見学。続いて同社編集企画室の広瀬一雄企画担当部長や田井東一宏次長に、お題の解決策を探るために考えてきた質問をぶつけた。
「選挙のときにはどのような記事を書いていますか」「選挙に対して消極的な若者を、どのようにみていますか」

解決策は、生徒たちが考えなければならない。新聞記事を考えるため、「記事を掲載する場所を指定できますか」「宣伝費はどのくらい使えますか」―といった質問も出された。

今年7月に投開票が行われた参院選の18、19歳の投票率は31・33%。全体の投票率(48・80%)よりも低く、また前回の投票率よりも大きく下がっている。新聞社側からは「若い視点で、本当に投票率を上げるような斬新な記事を考えて」とアドバイスが送られた。

「企業探究」には、産経新聞のほか、JTB西日本やキヤノン、阪急バスなどさまざまなジャンルの計13社が協力。さまざまな職業への視野や興味を広げ、自立的に学習する力や課題対応能力を身につけることなどを目的として、同校が平成27年度から行っている。

はじめは教師が引率して訪問していた企業もあったが、生徒のコミュニケーション能力を上げることも大切な目的の一つと考え、今では、生徒のリーダーが、自分で会社訪問のアポイントメントを取ることからプログラムを始めている。

スタートしてから企業探究に携わっている同校の杉邨(すぎむら)仁美教諭は「企業に、緊張して電話をかけるところから始めて、自分たちだけで物事を考え、進めていくことは大変刺激になります」と話す。

企業探究の授業を受けた後、自分たちで企業を訪問したり、高校生がビジネスプランを考えて発表する全国大会に出場したりする生徒もいるといい、「生徒たちの『自分でやろう』という意識が強くなっている」(杉邨教諭)。

産経新聞を訪問した生徒たちは「すべての記事をわかりやすく、正確に書くことが大切だと知った」(厚澤雅記君)、「中学、高校生に新聞を読んでもらう。そのためには小学校のころから新聞を読む習慣をつけさせる」(守谷祐二君)―などの感想を持った。

生徒たちは「お題」に対する答えをまとめ、来年2月には企業の担当者の前でプレゼンテーションを行う予定で、小林千佳教諭は「企業からいただいた『正解のない課題』に挑む経験を通して、生徒の世界が広がっていくことを望んでいます」と話している。

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私と新聞 現役東大生作家・西岡壱誠(にしおか・いっせい)さん 「能動的な学習態度」培うツール

東大合格体験をもとに独自の学習理論を書いた著作がベストセラーとなった現役東大生作家の西岡壱誠(にしおか・いっせい)さん(23)。西岡さんは「自ら学ぶ姿勢を身につけるためには社会への参加意識が大切。新聞を読むことを習慣づけ、その意識を養おう」と呼びかけます。

「東大生は新聞を読むことで思考力を身につけようとします」と語る西岡さん
(酒巻俊介撮影)

≪西岡流読むポイント≫
■新聞を読む習慣は社会への参加意識養う
■ニュースから入試問題を分析・予想
■授業で学んだことと関連する記事を探す

◆社会と学問を結ぶ

私は現在、偏差値が低いところから東大を目指すという漫画「ドラゴン桜2」の総合プロデューサーをしています。作者の三田紀房(みた・のりふさ)さんに「中高生は全員、新聞を読め」というコマを出してくださいと提案したところ、採用されました。提案した理由は、2浪の末、東大に合格した私の体験そのものだったからです。

私は中高時代、成績が全く振るわず、これといって取りえもなく、学校ではいじられキャラでした。ある時、日々の悩みを相談していた先生から「何事も受け身ではうまくいかない。誇れるものを何か持ってみろ。東大に合格してみろ」といわれました。

といっても、母校から東大に行く人もおらず、高3時代の偏差値は35で、勉強方法が分かりません。そこで、東大に合格した人などに勉強法を聞いて回りました。すると、多くの東大受験生は新聞を読んでいたのです。

浪人時代の塾でも度々新聞記事が話題にのぼりました。家で新聞を切り抜いてきて、「このニュースは先日の授業の話と通じるものがあるよね」などと話しました。東大の入試では、社会と今学んでいる学問がどう結びついているのかが問われるのです。

◆入試対策で役立つ

東大に限らず、大学入試対策として新聞を読むのは有効です。なぜなら、受験生でありながら出題する側の大学の先生と同じ目線に立てるからです。

新聞を読んで、大学の先生はどのようなニュースに興味を持つのか、あるいは、自分はこういう分野は知らなかったなとか、こういうテーマは世界史で問われそうだな、と分析・予想してみるのです。

私が合格した2016年の東大入試では石油エネルギーの問題が出ました。この年、掘削が難しいとされていた地層「シェール層」からのガス・石油掘削が可能になった「シェール革命」が話題となり、これに対抗し中東諸国が石油価格を下げたなどの報道が盛んでした。新聞でよく読んでいたので、非常に役立ちました。

2020年度に大学入試改革が行われますが、文部科学省の担当の方に聞きますと、学校で勉強していることと社会で起きていることがどのようにつながっているのかを「能動的に結びつける思考力」が問われるようになります。まさに東大型の入試が広く行われるようになるのです。

現役東大生ライターの西岡壱誠の著書

◆AI時代生きる術

私は、自分の体験が中高生に役立てばいいなと思い、執筆・講演活動などに取り組んでいます。

東大を目指す前と後の自分、1浪までと学習態度を根本から変えた2浪時の自分がどう違うのか振り返ったときに気がついたのは「学ぶことに対し能動的であったのかどうか」でした。目指す前は「先生から言われた通りやったのに、結果がでないのは先生のせい」と思っていました。しかし、「学ぶ」という行為は、「先生から言われたからやる態度」からもう一歩踏み込んで、自分の血肉にする「能動的な学習態度」が欠かせないのです。

「能動的な学習態度」を培うツールのひとつが新聞なのです。私は「能動的な学習態度」のイメージとして記者会見で質問する記者を思い浮かべ、著書「東大読書」の中で「文章は記者になったつもりで読みましょう」と提示しました。

今後、AI(人工知能)が生活のあらゆる分野に入り込む時代になります。社会環境は急速に変化し、複雑さ、不安定さが増し、自分で道を切り開いていこうとする姿勢を身につけないと生き残れないといわれています。しかし、「能動的な姿勢」を身につけることは難しいことではなく、小中高の学習環境で十分身につきます。このことは私が東大に挑戦する過程で証明してきたことです。

中高生のみなさん、まずは新聞を開いて、学校で学んできたこととの関連を、なにかひとつでもみつけることから始めてはいかがでしょうか。

【プロフィル】西岡壱誠(にしおか・いっせい) 平成8(1996)年北海道生まれ。現在東京大経済学部4年生。東大合格者ゼロだった私立の中高一貫校から2浪の末、東大に合格した経験を生かし執筆した「東大読書」(平成30年)、「東大作文」(同31年、いずれも東洋経済新報社)がベストセラーに。近著に「東大で25年使い続けられている『自分の意見』の方程式」(令和元年、KADOKAWA)。=産経新聞記事より

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