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【学ぼう産経新聞7/8】大学入試、初の共通テストは「三重苦」

大学入試改革の2つの柱とされた大学入学共通テストへの「英語の民間検定試験導入」と「記述式問題導入」が、将来的にも断念される見通しになった。令和3年度の共通テスト(今年1月に実施)を受けた現役受験生は、2つの柱の導入見送りに、新型コロナウイルスの感染拡大による休校や授業の遅れも加わった「三重苦」の状況下での大学入試を強いられた。高校教諭からは「学生も教員も振り回され、まだ是正すべき課題も残る」という嘆きの声が聞こえてくる。

2つの柱見送り+コロナ

 

英語の民間試験導入は、以前の大学入試センター試験が「読む・聞く」の2技能しか評価できなかったとし、民間試験導入で「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価する目的だった。しかし会場数や実施回数が試験ごとに異なる点や、受験生の居住地や経済状況で不公平が生じる―との懸念が出て延期。文部科学省が設けた有識者会議は、「(課題の)克服は容易でない」、つまり導入困難との結論を出した。

大阪のある私立学校の進路担当教諭は「始まることなく、民間試験の導入自体がなくなったことをよしとせざるを得ない」と、ため息まじりに話した。「大学入試は、民間業者の試験ではなく、厳正に管理された中で行われるべきだと思っている」からだ。

それでも、今年1月に実際に受験する生徒には、導入見送りが突然決まるまで民間試験の受験を勧めなければならなかった。「自分自身が納得できなくても、生徒のため、対策は進めなければならなかった」

コロナウイルスの問題も加わって、今年の受験生は、長い期間担当してきた中でも「最も大変な受験に挑んだ学生」だと感じた。「これだけ大変な受験を乗り越えたのだから、大学生活、そして社会に出てもがんばっていける、と励ましてあげたい」―。教諭は、皮肉まじりに話した。

◆受験生も学校も混乱

受験生の思考力、判断力、表現力をより的確に評価することを目的に、国語や数学の共通テストへの導入が決まりながら、こちらも見送りとなった記述式問題。兵庫県内のある私立高校の進路担当教諭は「制度をよくするための導入だろうし、変更もある程度は仕方ないが、『やります』『やっぱりやめます』では、受験生も学校現場も混乱する」と話す。

記述式問題については、先に「試行調査」として大学入試センターが問題を公表していた。この教諭は、担当である数学の問題をみて、「制度を改革してまで導入するほどの意義はないと思った」という。

有識者会議が導入困難とした判断は「質の高い採点者の確保と、短期間で約50万人の答案を正確かつ公平に採点することは、いずれも難しい」。大阪、兵庫、2人の教諭も、「大学ごとに個別に行う2次試験で、記述力をしっかりと見ればいい」と口をそろえる。

◆是正すべき課題

導入が断念されても、課題は残る。大阪の私立学校の進路担当教諭は、英語が担当。「早急に是正しなければならない問題が残っている」と指摘する。

「『話す・書く』を民間試験に委ねる方向だったため、共通テストの英語は『読む・聞く』だけの試験になった。例えば発音やアクセント、文法、整序英作など『話す・書く』ためにも必要な基礎知識を問う出題が消え、受験生の英語力を多角的に測れない、バランスの悪い試験だった」

記述式問題導入のため、試験時間をわざわざ60分から70分に延長した数学①の共通テストは、結局、導入見送り後も70分のまま実施された。複数の教諭が〝混乱ぶり〟を象徴するエピソードとしてあげた事例だ。

 

 

 

 

 

 

 

学ぼう産経新聞7/8

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